新NISA 暴落の可能性はある?知っておきたいリスクと対策

リスク イラスト

株式市場は上がったり下がったりを繰り返すもの。新NISAで投資を始めた方や、これから始めようと考えている方の中には「せっかく始めた投資が暴落したらどうしよう」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。特に2022年から2023年にかけての世界的な株価下落を経験した投資家にとって、暴落リスクは身近な問題です。

この記事では、新NISAにおける暴落の可能性について考えるとともに、もし暴落が起きた場合にどう対処すべきか、そのリスクを減らすための具体的な方法をご紹介します。投資は長い目で見れば資産形成の強い味方になりますが、短期的な変動に一喜一憂せず、冷静に対応するためのヒントをお伝えします。

目次

新NISAの基本をおさらい

新NISAについて考える前に、まずはその基本的な仕組みをおさらいしておきましょう。2024年1月から始まった新NISAは、以前のNISAから大きく変わり、より長期的な資産形成を支援する制度へと生まれ変わりました。

新NISAとは何か

新NISA(少額投資非課税制度)は、一定額までの投資から得られる利益が非課税になる制度です。2024年1月からスタートし、以前のNISAと比べて非課税枠が大幅に拡大されました。

新NISAは「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の2つから構成されています。成長投資枠は年間240万円まで、つみたて投資枠は年間120万円までの投資が可能で、両方合わせると年間360万円もの非課税投資枠が使えます。また、生涯非課税枠は1,800万円と設定されており、長期的な資産形成をサポートする仕組みになっています。

新NISAの仕組みと特徴

新NISAの大きな特徴は、非課税期間が無期限になったことです。以前のNISAでは非課税期間が最長5年間でしたが、新NISAではその制限がなくなりました。つまり、一度投資したお金は、売却するまで何年経っても利益に税金がかからないのです。

また、新NISAでは投資対象商品も整理されました。成長投資枠では国内外の上場株式やETF、投資信託などに投資できます。一方、つみたて投資枠では長期・積立・分散投資に適した投資信託に限定されています。

新NISAの概要は以下の表のとおりです。

区分年間投資上限額生涯非課税投資枠非課税期間
成長投資枠240万円1,800万円(つみたて投資枠と合算)無期限
つみたて投資枠120万円1,800万円(成長投資枠と合算)無期限

この制度を活用することで、長期的な視点で資産形成を行うことができますが、もちろん投資である以上、市場の変動リスクは避けられません。では、新NISAで投資する際に暴落のリスクはどの程度あるのでしょうか。

新NISAに暴落の可能性はあるのか

結論から言うと、新NISAで投資する商品にも暴落の可能性はあります。新NISAはあくまで税制優遇の仕組みであり、投資対象となる株式や投資信託自体のリスクを減らすものではないからです。

過去のNISAの値動きから見るリスク

過去のNISA制度下での投資実績を振り返ると、市場の変動に応じて大きく値動きした時期がありました。例えば、2020年のコロナショックでは世界の株式市場が急落し、NISA口座で保有していた投資信託や株式も大きく値を下げました。

また、2022年から2023年にかけては、世界的なインフレや金利上昇の影響で株式市場が調整局面を迎え、多くの投資家が含み損を抱える状況になりました。特に成長株やハイテク株に集中投資していた方は、大きな下落を経験しています。

しかし、長期的な視点で見ると、こうした下落局面を乗り越えて資産が成長してきたケースも少なくありません。例えば、2014年のNISA開始当初からインデックス投資信託に継続的に投資していた場合、一時的な下落はあったものの、トータルではプラスのリターンを得られた方が多いようです。

新NISAで注意すべきポイント

新NISAで投資する際に特に注意すべきポイントをいくつか見ていきましょう。

投資対象の選び方

新NISAでは投資対象の選び方が重要です。特に成長投資枠では、個別株からインデックスファンドまで幅広い商品に投資できますが、その分リスクの差も大きくなります。

個別株に投資する場合、その企業固有のリスクを負うことになります。例えば、業績の悪化や不祥事などによって株価が大きく下落する可能性があります。2023年には日本を代表する大企業でも不正会計問題などが発覚し、株価が急落するケースがありました。

一方、インデックスファンドやETFなどの分散投資商品は、一つの銘柄の下落による影響を抑えることができます。特に「全世界株式」のようなグローバルに分散された投資信託は、地域ごとのリスクも分散できるため、暴落時の下落幅を抑える効果が期待できます。

つみたて投資枠で選べる商品は、金融庁が定めた基準を満たした投資信託に限定されています。これらは手数料が低く、分散投資が行われているものが多いため、比較的リスクを抑えた投資が可能です。ただし、これらの商品でも市場全体が下落すれば価格は下がります。

市場全体の影響

どんなに分散投資をしても、世界的な金融危機やパンデミックなど、市場全体に影響を与える出来事が起きれば、ほとんどの投資商品が同時に下落することがあります。これを「システミックリスク」と呼びます。

2008年のリーマンショックや2020年の新型コロナウイルスによる市場暴落では、ほぼすべての資産クラスが同時に下落しました。新NISAで投資する場合も、こうした市場全体の暴落リスクは避けられません。

また、金利環境の変化も市場に大きな影響を与えます。2022年から2023年にかけては、インフレ対策として世界的に金利が引き上げられたことで、特に成長株や債券に大きな下落圧力がかかりました。新NISAでの投資も、こうしたマクロ経済環境の変化の影響を受けます。

しかし、過去の歴史を振り返ると、市場は暴落後に回復する傾向があります。例えば、コロナショックで大きく下落した市場も、その後1〜2年で回復し、多くの指数は過去最高値を更新しました。長期投資の視点を持つことで、こうした短期的な変動に一喜一憂せずに済むでしょう。

暴落リスクを減らすためにできること

新NISAで投資する際に、暴落リスクを完全に避けることはできませんが、そのリスクを減らし、影響を最小限に抑えるための方法はいくつかあります。

分散投資のすすめ

「卵は一つのカゴに盛るな」ということわざがあるように、投資においても分散は重要な原則です。分散投資には主に以下のような方法があります。

資産クラスの分散:株式だけでなく、債券や不動産、金などの異なる資産クラスに投資することで、一つの資産クラスが下落しても、他の資産クラスがその影響を緩和する可能性があります。新NISAでは主に株式や投資信託が対象ですが、その中でもバランスファンドのように複数の資産クラスに投資する商品を選ぶことができます。

地域の分散:日本株だけでなく、米国や欧州、新興国など、世界中の様々な地域に投資することで、特定の国や地域の経済問題による影響を抑えることができます。例えば、2023年は日本株が好調でしたが、新興国株は苦戦するなど、地域によってパフォーマンスに差がありました。

業種の分散:テクノロジー、ヘルスケア、金融、消費財など、様々な業種に分散投資することで、特定の業種の不振による影響を緩和できます。2022年はテクノロジー株が大きく下落しましたが、エネルギー株は好調だったように、業種によって値動きは異なります。

時間の分散:一度にまとまった金額を投資するのではなく、定期的に少額ずつ投資する「ドルコスト平均法」を活用することで、投資タイミングのリスクを分散できます。これは特に「つみたて投資枠」で実践しやすい方法です。

分散投資の具体例として、全世界株式インデックスファンドがあります。これは世界中の数千社の株式に分散投資するため、個別企業や特定の国のリスクを大幅に減らすことができます。新NISAのつみたて投資枠では、このような分散型の投資信託が多く選択可能です。

ただし、分散投資にも限界があります。前述のように、世界的な金融危機の際には、ほとんどの資産が同時に下落することがあります。また、過度な分散は平均的なリターンに近づくため、大きなリターンを得る機会も減少します。自分のリスク許容度に合わせた適切な分散が重要です。

長期目線での投資

新NISAの最大の特徴は、非課税期間が無期限になったことです。これは長期投資を前提とした制度設計であり、短期的な市場の変動に惑わされず、長い目で資産形成を行うことを奨励しています。

長期投資のメリットは、短期的な市場の変動に左右されにくくなることです。株式市場は短期的には上下に大きく変動することがありますが、長期的には経済成長に伴って上昇する傾向があります。例えば、日経平均株価は1989年のバブル崩壊後、長い低迷期を経験しましたが、2013年以降は上昇トレンドに転じ、2023年には30年以上ぶりに高値を更新しました。

また、長期投資では「複利効果」の恩恵を受けることができます。投資から得られたリターンを再投資することで、時間とともに資産が雪だるま式に増えていく効果です。例えば、年率5%で30年間複利運用した場合、元本は約4.3倍になります。

長期投資を成功させるためのポイントは、市場が下落した時にも慌てて売却せず、投資を継続することです。むしろ、市場の下落局面は割安な価格で投資できるチャンスと捉えることができます。特に定期的に積立投資を行っている場合、市場下落時には同じ金額でより多くの口数を購入できるため、長い目で見れば有利に働くことが多いのです。

新NISAでは、特につみたて投資枠を活用して、毎月一定額を投資し続けることで、市場の短期的な変動に左右されにくい投資スタイルを構築できます。例えば、毎月3万円を全世界株式インデックスファンドに投資し続ければ、年間36万円、10年で360万円の投資となります。これに投資リターンが加わることで、長期的には大きな資産形成につながる可能性があります。

暴落時の心構えとして重要なのは、投資の目的を見失わないことです。新NISAは老後資金や子どもの教育資金など、長期的な目標のための制度です。短期的な市場の変動に一喜一憂せず、長期的な視点を持ち続けることが大切です。

また、投資を始める前に、自分自身のリスク許容度を理解しておくことも重要です。例えば、50%の下落が起きた場合でも耐えられるかどうかを考えてみましょう。もし耐えられないと感じるなら、株式の比率を下げ、債券などのリスクの低い資産の比率を高めるなど、ポートフォリオの調整を検討する必要があります。

新NISAでは、成長投資枠とつみたて投資枠を組み合わせることで、リスクとリターンのバランスを取ることも可能です。例えば、リスクを取りたい部分は成長投資枠で個別株やアクティブファンドに投資し、安定性を求める部分はつみたて投資枠でインデックスファンドに投資するといった使い分けができます。

まとめ

新NISAは長期的な資産形成を支援する優れた制度ですが、投資である以上、暴落のリスクは避けられません。しかし、分散投資や長期投資の原則を守ることで、そのリスクを軽減し、暴落を乗り越えて資産を育てることが可能です。

重要なのは、短期的な市場の変動に一喜一憂せず、自分の投資目標に向かって着実に歩み続けることです。新NISAの非課税期間が無期限になったことは、まさに長期投資を後押しする仕組みといえるでしょう。

市場の暴落は恐れるべきものではなく、むしろ割安に投資できるチャンスと捉える視点も大切です。自分のリスク許容度を理解し、適切な分散投資を行いながら、長い目で資産形成を続けていきましょう。

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この記事を書いた人

金融ライター✕投資ブロガー|株式投資歴30年|仮想通貨投資歴8年|FX投資歴13年|NFT購入3年|投資経験を生かした稼ぐためのアイデアを発信します|投資による第2の収入を!|元公務員|一級建築士

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