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資産売却の順番が鍵!NISAと特定口座の出口戦略を完全ガイド

資産売却

資産運用を長年続け、無事に一定額の資産が築けたら、次に考えるべきは「出口戦略」です。しかし、この出口戦略が意外と難しく、適切な判断をしないと税金で手取りが減ってしまったり、せっかくの運用益が無駄になってしまう可能性があります。

特にNISAや特定口座といった複数の口座を持っている場合、どの資産から売却するかの順番が重要な鍵となります。この記事では、出口戦略の4つのポイントをわかりやすく解説し、資産を最大限に活かす方法をご紹介します。

目次

出口戦略とは何か

そもそも「出口戦略」とは、資産を築いた後にどのように取り崩し、現金化していくかという考え方のことです。資産運用をしている方なら、投資信託や株式、NISA、iDeCo(イデコ)など複数の資産を保有していることが多いでしょう。そのため、どの資産をいつ、どの順番で売却すれば最も効率的か、という戦略が必要になります。

また、出口戦略には大きく2つの側面があります。ひとつは「資産の現金化」であり、もうひとつは「年金や退職金などの受け取り方」です。現金化する際には、できる限り手元に残る金額を最大化するための方法が求められます。一方、年金や退職金の受け取り方も、一括で受け取るのか、年金形式で少しずつ受け取るのかによって、手元に残る金額が大きく変わるため慎重な判断が必要です。

この記事では、これら2つの視点を踏まえつつ、資産売却の順番を中心に、合理的で効率的な出口戦略について詳しく見ていきます。

ポイント1:資産売却の順番は「特定口座」から

最初に重要なポイントは「どの資産から売却するか」です。資産運用を続けていると、NISAや特定口座といった複数の口座で資産を保有していることが一般的です。この場合、まず手をつけるべきは「特定口座」の資産です。

その理由は「税金」にあります。特定口座の資産を売却すると、譲渡益に対して約20%の税金がかかります。しかし、NISA口座で保有している資産は非課税のため、利益が出ても税金が発生しません。そのため、税金を最小限に抑えるためには、まず特定口座の資産から売却し、NISA口座には資産を残しておくことが最も合理的です。

例えば、特定口座とNISA口座それぞれに1800万円ずつ資産を保有していた場合を考えてみましょう。売却を始める時点で資産が3600万円まで膨らんでいたとします。この状態で500万円を売却すると仮定すると、特定口座から売却するほうが税金を抑えられ、長期的に見て手元に残る金額が増えるのです。

さらに、NISA口座に資産を残しておけば、今後の運用益も非課税の恩恵を受け続けることができます。逆に、NISA口座から先に売却してしまうと、税金のかかる特定口座の資産しか残らなくなり、手取りが減ってしまう可能性が高いのです。

ポイント2:資産売却の順番は「含み益が小さいものから」

次に考えるべきポイントは、同じ特定口座内に複数の商品がある場合、どの順番で売却するかです。この場合の基本原則は「含み益が小さいものから売却する」ということです。具体的な理由は「税金」と「複利効果」にあります。資産を売却する際、少しの判断ミスで大きな税金が発生し、資産形成に大きな影響を及ぼす可能性があります。そのため、正しい順番で資産を取り崩すことが極めて重要になります。

まず、税金の仕組みについて簡単に触れておきましょう。特定口座の資産を売却する際、税金は「売却益」に対して発生します。売却益は「売却額から元本を差し引いた金額」のことで、利益が出た分に対して約20%(所得税および住民税)が課税されます。この税率は決して軽いものではなく、特に含み益が大きい資産を先に売却してしまうと、その分税金が多く引かれてしまい、結果的に手元に残る金額が大幅に減少することになります。

具体的な例で考えてみましょう。特定口座内に2つの商品があるとします。商品Aは元本1800万円で、評価額が3600万円に成長している資産です。含み益は1800万円です。一方、商品Bは元本900万円で、こちらも評価額は3600万円になっています。含み益は2700万円です。この状態で500万円分を売却すると仮定した場合、どちらの商品から売却するかによって手元に残る金額に大きな差が生じます。

もし、含み益が大きい商品Bから売却してしまうと、売却益が多く発生するため、その分税金が高額になります。例えば、500万円分を売却する際、含み益2700万円のBでは売却益が多くなるため、税額は高くなり、残る金額が少なくなります。一方で、含み益が少ない商品Aを先に売却すれば、売却益が小さくなる分、税金の支払いが抑えられ、結果的に手元に残る金額が多くなります。

この違いは単に税金の差だけでなく、将来の運用効果にも影響します。なぜなら、資産運用において重要な「複利効果」が関係してくるからです。複利効果とは、元本と過去の利益(含み益)を再投資することで利益が加速度的に増加していく効果のことです。複利効果を最大化するためには、できるだけ大きな含み益を残し、運用を継続することが有利になります。

例えば、先ほどのケースで含み益が大きい商品Bを売却してしまうと、その分税金が引かれて運用資金が減少します。その結果、複利効果が十分に働かなくなり、将来的に資産が増えるスピードが鈍化してしまいます。一方で、含み益が小さい商品Aから売却すれば、税金の負担が少ないため、手元に残る運用資金が多くなり、複利効果が最大限に発揮されます。

さらに、資産売却の順番を間違えてしまうと、その後の資産形成や出口戦略全体に影響を与えることになります。売却益が大きくなりすぎて一時的に税金が高額になると、翌年の資金計画にも影響し、場合によっては再投資が難しくなるリスクもあります。出口戦略では、税金を最小限に抑えつつ、効率よく資産を取り崩していくことが求められます。

このように、特定口座内で複数の商品を売却する場合は、含み益が小さいものから順番に売却することが最も合理的です。税金の負担を抑えることで、手元に残る金額を最大化し、複利効果を維持しながら長期的に資産を効率よく現金化することができます。含み益が大きい資産は将来の運用益を生み出す「種」となるため、できる限り後回しにするのが賢明です。

資産運用において、出口戦略はゴール地点の一つですが、正しい順番で取り崩さなければ、これまでの努力が無駄になりかねません。資産の売却順序は一見小さな選択に見えるかもしれませんが、数年後には大きな差として結果に表れます。含み益が小さい資産から売却することで税金を抑え、資産の成長を維持しつつ、計画的な出口戦略を実現することが大切です。

出口戦略は資産運用の最終章とも言えますが、その手順を誤ることなく、合理的に判断することで、これまで築いてきた資産を最大限に活かすことができるのです。

ポイント3:NISA口座の売却も「含み益が小さいものから」

NISA口座の場合でも、売却する順番には注意が必要です。NISAは非課税で資産運用ができる魅力的な制度ですが、売却後にどの資産を残すか、そしてどの順番で売却するかによって、今後の運用効率や非課税の恩恵に大きな差が出てきます。ここで重要なのが「含み益が小さい資産から売却する」という原則です。これを意識することで、NISAの投資枠を最大限に活用し、資産成長を効率よく維持することができます。

NISA口座の基本的なルールとして、年間の投資上限枠は360万円(つみたてNISAの場合は年間120万円)と決まっています。この非課税枠は毎年リセットされるため、効率的に活用することが資産運用のカギになります。しかし、NISA口座内で資産を売却した場合、その分の枠は翌年以降に引き継がれるわけではありません。売却後の資金を新たな投資に回すためには、次年度の非課税枠を活用するしかないのです。

ここで「含み益が小さい資産から売却する」という戦略が重要になります。なぜなら、含み益が大きい資産を先に売却してしまうと、非課税の恩恵を早々に手放してしまい、翌年のNISA枠が有効活用できなくなってしまうからです。一方、含み益が小さい資産を優先して売却することで、次年度の非課税投資枠を最大限に確保することができます。つまり、非課税の枠を無駄なく活かし、資産の成長を長期的に続けられるのです。

具体的な例を挙げて説明しましょう。例えば、NISA口座内に2つの商品があるとします。商品Aは元本180万円で、評価額が360万円に成長している資産(含み益180万円)です。商品Bは元本300万円で、評価額が360万円に成長している資産(含み益60万円)です。この場合、どちらを売却するかによって、翌年のNISA枠をどれだけ確保できるかが変わります。

もし商品A(含み益が大きい資産)を先に売却した場合、非課税枠の恩恵を最大限に活かせているとは言えません。なぜなら、含み益が大きい資産は、今後さらに成長する可能性が高いため、NISA口座内で運用を続けたほうが税制メリットを最大化できるからです。一方で、商品B(含み益が小さい資産)を先に売却すれば、売却後に残る資産の成長余地をNISA口座内に確保し、翌年の非課税枠もフルに活用することができます。

さらに、含み益が小さい資産を売却するメリットは「非課税投資枠の回転効率」にもあります。NISAは枠のリセットが毎年行われるため、含み益が少ない資産を早めに売却し、得た資金を翌年の非課税枠に再投資することで、運用効率を高めることが可能です。逆に、含み益が大きい資産を売却すると、せっかくのNISAの非課税メリットを途中で失うことになり、将来的なリターンの最大化を妨げる要因になります。

このように、NISA口座の売却においても「含み益が小さい資産から売却する」という原則を守ることで、税金を一切払うことなく資産を効率よく成長させ続けることができます。NISA口座は非課税という非常に大きなメリットを持っていますが、単に資産を保有するだけでなく、売却順序をしっかりと意識することで、非課税の恩恵を最大限に活かすことができるのです。

特に、長期的な視点で資産運用を続ける場合、NISA口座の効果を最大限に発揮することは非常に重要です。NISA口座内に含み益が大きい資産を残しておくことで、複利効果を最大化し、非課税のまま成長を続けることができます。そのため、資産を売却する際には、含み益が小さい資産を優先的に取り崩し、NISA口座の枠を上手に管理することが求められます。

NISA制度は税金の負担を軽減しながら資産運用ができる非常に優れた仕組みですが、その恩恵をフルに活かすためには戦略的な売却順序が欠かせません。含み益が小さい資産から売却することで、税金を支払うことなく資産を最大限に活用し、長期的な運用効果を高めることができるのです。NISA口座の活用においては、目先の利益だけでなく、数年先、あるいは10年、20年先の成長を見据えた戦略が必要だと言えるでしょう。

ポイント4:年金やiDeCoの受け取り方

資産の現金化と並行して考えるべきなのが「年金やiDeCo(イデコ)の受け取り方」です。これは出口戦略において極めて重要な要素です。長年積み立ててきた年金や退職金をどのように受け取るかによって、手元に残る金額や生活設計が大きく変わるため、慎重な判断が求められます。

まず、公的年金の受け取り方について考えてみましょう。公的年金は原則として65歳から受け取ることができますが、「繰り上げ受給」や「繰り下げ受給」を選択することも可能です。これによって受給額を増減させることができるのです。

繰り上げ受給を選ぶと、早く年金を受け取ることができます。具体的には、最も早く60歳から受け取ることができますが、その代わり受給額が減少します。1か月繰り上げるごとに年金額は0.4%減少し、最大で30%減額されてしまいます。そのため、「早めに受け取って手元の資金を確保したい」「寿命が比較的短い家系である」といった理由がある場合に有効な選択肢となります。しかし、その分受け取れる総額が少なくなる可能性があるため、慎重な判断が必要です。

一方で、繰り下げ受給を選べば、受け取り開始時期を65歳より後に遅らせることができ、その分受給額が増加します。繰り下げ受給では、1か月遅らせるごとに年金額が0.7%増加し、最大で42%増額されます。例えば、70歳まで繰り下げると受給額は大幅に増えるため、「長生きする自信がある」「老後の生活資金に余裕がある」という場合には、非常に有利な選択肢となります。

次に、iDeCoや企業型DCの受け取り方について見ていきましょう。iDeCoや企業型DCは、自分自身で積み立てた資産を「一括受け取り」「年金形式で受け取る」という2つの方法から選択することができます。

一括受け取りを選んだ場合、積み立てた資産を一度にまとめて受け取ることができます。この方法のメリットは、まとまった資金を手に入れられるため、大きな出費に対応できる点です。例えば、住宅ローンの完済や子どもの教育費、医療費など、大きな支出が見込まれる場合には一括受け取りが有効です。しかし、注意が必要なのは税金です。一括受け取りの場合、退職所得控除の対象にはなりますが、受け取り金額が大きいと控除枠を超え、課税対象になる可能性があります。そのため、受け取る年の所得を考慮して計画を立てることが大切です。

一方で、年金形式で受け取る方法もあります。これは、積み立てた資産を数年から数十年に分けて少しずつ受け取る方法です。年金形式の最大のメリットは、税金を分散させることができる点です。一度に大きな金額を受け取ると税負担が増えますが、年金形式で分割して受け取れば、その年の所得が抑えられ、税金も軽減される可能性が高くなります。また、長期間にわたって安定した収入が得られるため、老後の生活設計がしやすくなるという利点もあります。

ただし、年金形式にはデメリットもあります。受け取り期間が長いため、インフレリスクにさらされる可能性がある点です。物価が上昇すると、将来的に受け取る金額の実質的な価値が目減りしてしまうことも考えられます。そのため、資産の受け取り方を選ぶ際には、インフレリスクも考慮する必要があります。

自分のライフスタイルや必要な資金額、今後の支出計画を考慮しながら、最適な受け取り方法を選ぶことが重要です。例えば、退職直後はまとまった資金が必要なため一括受け取りを選び、その後は年金形式で少しずつ受け取るという「組み合わせ」の選択も一つの戦略です。

さらに、年金やiDeCoの受け取り方を決める際には、税理士やファイナンシャルプランナーに相談するのも一つの方法です。税金対策や最適な受け取り方法について専門的なアドバイスを受けることで、より効率的に資産を活用することができます。

このように、年金やiDeCoの受け取り方は、老後の生活設計に大きな影響を与える重要な決断です。公的年金の繰り上げ・繰り下げ、iDeCoの一括受け取り・年金形式受け取りなど、選択肢は多岐にわたりますが、自分のライフプランや資金ニーズに合わせて柔軟に判断することが大切です。

老後の資産を最大限に活用するためには、単に資産を取り崩すだけではなく、受け取り方法を最適化し、税金の負担を抑えながら計画的に現金化する戦略が欠かせません。適切な判断を行うことで、安心した老後生活を送るための土台を築くことができるのです。

まとめ

出口戦略を成功させるための鍵は「資産の売却順序」と「税金対策」にあります。まずは特定口座の資産から売却し、含み益が小さいものを優先的に現金化することで税金を抑えることができます。そして、NISA口座は含み益が小さいものから売却することで、非課税のメリットを最大限に活かせます。

さらに、公的年金やiDeCoの受け取り方も重要なポイントです。受け取り方次第で税金や受給額に大きな差が出るため、自分のライフプランに合わせて最適な方法を選択しましょう。

出口戦略は、資産形成のゴール地点であり、資産を最大限に活かす最後の一手です。合理的でシンプルな戦略を立て、賢く資産を活用していきましょう。

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この記事を書いた人

投資経験を生かして稼ぐための情報を発信します|堅実な投資で豊かな老後|夢は逃げない。逃げるのはいつも自分だ。|株式投資歴30年|仮想通貨投資歴5年|FX投資歴10年|NFT購入歴2年|元地方公務員

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